「無音」という恐怖

ついさっきまでは、私は普通だった。洗面所でYouTubeを流しながら普通に顔面を作っていた。私の家族構成は父、母、姉そして自分の4人で父親は単身赴任、中国の方に住んでいる。それ以外の3人で実家に住んでいるが、ついさっきまでは姉も母も出かけていて家には私ひとりだった。誰も居ないのが辛い時もあるが今回は違った。母が帰ってきた。犬の毛を整えた帰り、まだ普通の私も普通に「おかえりー」と

 

そこら辺からパニックになり始めた。母親は「ただいま」と言ったらしいがついさっきの事なのに覚えていない。

私は後ろめたく、とてもビクビクする時がある。周りで起きる出来事、特に音に関して敏感になる。全ての音が私を責めている様に感じるので、部屋の扉を少し開けて母親の音を聴いてみた。無音だった。母は家ではいつも動画や音楽を流したり姉と会話している。

異常に無音に感じた。パニックなので解らないが被害妄想や強迫観念を打ち消す為に「音」を確認する作業、大抵は自分のことじゃ無いのでホッとするが「無音」というのはその安心が得られないまま自分の内側で被害妄想が膨らんでいくのが恐ろしいのかも知れない。

 

大麻を初めて吸った時、セッティングが悪くバッドになったパラノイア的感覚と少し似てる。

 

大分落ち着いてきた。パニックの感覚はうつとは全く違う事を再認識した。うつは自分が辛い事を噛み締める様な辛さだが、パニックは何が起きているか理解出来ない、非常に抽象的で捉え難い「何か良くないモノ」ぐらいしか分からない。

 

 

パニックになった時は、特有の匂いを感じる気がする。とろけた何かが焼けている様な、きっと気のせいだが、幻聴や幻視があるように「幻臭」というのがあるくらいだから、パニックの当事者に執りパニックの香りは確かに漂っているのだろう